『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』の程よいギャグ感

今週の月曜日にお話になるのですが、仕事の後、夜の時間を使って『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』(Dungeons & Dragons: Honor Among Thieves)を観に行きました。映画館は福岡中州にある「太洋映画館」です。

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太洋映画館

この映画館の佇まいも昭和テイストが残っていて最高なんですが(表玄関は昭和ですが、座席は広くて心地よく、トイレもキレイな最新の設備になっていて、とても良かったです)、今日は映画自体のお話をします。

ダンジョンズ&ドラゴンズはご存じの方はご存じだと思いますが、世界的に有名なTRPG(Tabletop Role Playing Game)の一つです。私はTRPG版をプレイしたことはないのですが、PC版のオンラインゲームを何年かプレイしたことがあります。プレイヤーは戦士や魔法使い、僧侶、盗賊等、いくつかのスキルに特化したキャラクターを操作して様々な冒険をしていきます。オンラインゲームではマルチプレイも可能で、3人〜5人程度のパーティでプレイすることも多いです。

映画の方も同様の設定で、様々なスキルを持った登場人物が集まってパーティを組んで共通の敵に挑んでいくという内容で、設定や物語はオーソドックスな、王道とも言って良いものでした。特撮も凝っていて、登場するボスモンスターの描写や、舞台となる大陸の風景、村や町の描写など、作り手のこだわりを感じるものでした。

しかし、この映画で特筆すべきものは、この映画がただの冒険映画ではなく(昔からある『アルゴ探検隊の大冒険』や『シンドバッド虎の目大冒険』などの流れをくむという意味で)、コメディ映画であるという点だと思います。しかもただのコメディ映画ではありません。

実は、知り合いから教えてもらって、この映画がコメディ映画であることは知っていて、そのつもりで観に行ったので、正直あまり期待はしていませんでした。なぜならば、私は最近の洋画のコメディ映画が苦手だったからです。もちろん、英語のギャグ自体英語が母国語ではない私には難しいということもあるのですが、主人公たちの愚かな行動、大げさな表情、動作、バカ騒ぎ、冗長なシナリオ、ギャグの質としてもあまり良いものと感じたことがありません。

昔のコメディ映画、例えば『ビバリーヒルズ・コップ』や『マスク』といったものは、役者の演技もシナリオもしっかりしていて、ギャグ自体は馬鹿馬鹿しくても鑑賞にたえるものも散見されました(というか、昔のハリウッド映画は普通の映画でもコメディ要素が多く含まれていましたよね)。最近のものはどの映画とはここでは申し上げませんが、大人の鑑賞にたえうるものではないものが多かったような印象です(私がそう感じた結果、コメディをほとんど見なくなったことも原因かも知れません)。

この『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』も、ちょっと間違うとそういった馬鹿映画に陥る可能性もあったと思うのですが、ギリギリの線でそうならず、なかなかの傑作に仕上がっているという印象です。

まず、俳優陣が良いです。主人公の盗賊がスター・トレックシリーズで有名なクリス・パイン、女戦士(バーバリアン)がミシェル・ロドリゲス(私は映画版『バイオハザード』以来大好きで、主役のミラ・ジョヴォヴィッチより好きでした)、悪役の詐欺師(ローグ)があの名優ヒュー・グラントですよ。観ているうちにその配役だけでワクワクしてしまって、二時間を越える大作(!?)であったにもかかわらず最後まで一気見でした。初見の役者さんでしたがティーフリングのソフィア・リリスも可愛くて良かったし、レッド・ウィザードのデイジー・ヘッドも魅力的でした。

基本的にギャグが大げさな動作や表情に頼るものではなく、ちょっとした会話とか、間合いを大事にしたものだったことも私にとってはちょうど良かったです。誰でも笑えるギャグと、ダンジョンズ&ドラゴンズをプレイしたことのある人ならクスッと笑えるギャグがバランス良く散りばめられていました。

前者の例として上げられるのは、墓場での復活ギャグですね。5回までしか質問できないという段階でオチは見えていましたが、あの墓石を暴く音とギャグのリズムが絶妙で、質の高い漫才を観ている気分になりました。また、後者の例で上げられるのは、ダンジョンの中での知性喰いのシーンです。こいつらは知性のある動物の脳を喰うんだ、と言われて全員が固唾を呑んで壁に張り付くんですが、全員スルーされる。このシーン、何故サイモンがウィザードではなくソーサラーなのかとか(オリジナルゲームでソーサラーの知力はウィザードに比べて低く設定されることが多い)、先導していた聖騎士がパラディンであること(オリジナルゲームではパラディンは神の力を有する防御役でもあり攻撃役でもあってなかなかスキルの割り振りが難しい。強くするためには知力を犠牲にした脳筋になることも……)など、ゲームをプレイしたことのある人なら思わずコーヒーを吹くレベルだと思います。

なんにしろ、心地よく笑っているうちに彼らの冒険が終わって、ハッピーエンドなのがよろしい。但し、最後のクライマックスのシーンがスター・ウォーズエピソードⅡの闘技場シーンをパクったのではないかと思わせたのは、どうなんでしょう。映画的に良かったのか、悪かったのか。もしかしたら、スター・ウォーズに対するリスペクトパロディだったのかも知れません。ミミックが出てきたシーンでは、フロムソフトウェアのARPG、ダークソウルをプレイした方なら大笑いできたかもですね。

映画を観終わって、PC版のオンラインゲームゲームをもう一度やりたくなったかというと、実はそうでもありませんでした。私にとってはPCゲーム版はトラウマです。今でも忘れられないのは、私はローグ役で、鍵を開けたり、罠を解除したりする役回りだったのですが、これ、きちんとスキルを付けてレベルを上げておかないと、お宝が入手できないだけでなく、パーティ全体が全滅、ということも起きてしまうのです。私はもう、その緊張感に耐えられそうにありません。ただ、楽しい想い出もあって、みんなである神殿に忍び込んだとき、何故かみんな私を先に先に行かせようとするんですよ。初心者の私は何も気付かず、そのまま先行するんですが、ある広場に出た途端、ビームで撃ち抜かれて死亡。ローグの天敵、ビホルダーが目の前に。後で聞いた話ですが、みんなワクワクしてその瞬間を待っていたそうで、なんで前もって言ってくれなかったんだよ〜とその時は仲間を恨んだものでした。

ま、私はおとなしく、妻と一緒にエルデンリングをプレイすることにします。報告は以上です。