Freewriteとは
Freewriteとは、クラウドファンディングで資金を集めて作られた、「現代のタイプライター(現代のワープロ)」ともいうべき、執筆専用のガジェットです。Wi-Fi機能を持っていてネットワークに繋げることはできますが、ウェブを見たり、メールをチェックしたり、当然Twitterをすることもできません。ただ、書いた成果物をクラウドに保存するためだけにネットワークを使います。文字通り、「執筆すること」しか考えていません。そういう意味では、日本で発売されているキングジムの「ポメラ」と非常に似たコンセプトを持ったガジェットといえます。
特徴
主な特徴は以下の通りです。
- E Inkスクリーンを使用している。
- ドイツのCherry社が製造しているメカニカルキーボードをフィーチャーしたキーボードを使用している。
- 100万ページのドキュメントを保存可能。
- Wi-Fiによるクラウドサービスとの連携。
- 国際言語対応(日本語も対応済み)。
- アルミニウムの堅牢なボディと収納可能なハンドル。
良い点
- スクリーンは見やすいです。日本語フォントも美しく表示されます(ゴシック体のみ)。
- キーボードは打ちやすいです。最近のMacの薄っぺらいキーボードに比べると格段に打ちやすいです。
- オリジナルのクラウドサービス以外に、Evernote、Dropbox、Google Documentに連携することができます。
- 日本語、中国語、韓国語などのマルチバイト言語にも対応しています。
- 書くことしかできないので、執筆に専念できます(結構大事)。
- 昔のアメリカの文豪気分を味わえます。
悪い点
- 日本語の変換精度はそこそこ。ATOKを期待していると厳しいです。
- 保存先フォルダが3つのみです。ただし、それぞれのフォルダの中にはファイルはいくらでも作れます。
- いわゆる「バックスペースキー」しかありません。
- 「ページダウンキー」と「ページアップキー」はありますが、編集箇所を移動することができません。
小説執筆に使えるか?
結論から言うと、ショートショートや短編、もしかしたら中編程度の小説であれば使えると思います。これは、Freewrite単体ではプロジェクト全体の俯瞰が難しいので、執筆者の能力に依存します。全部頭の中にプロットが入っており、頭の中だけで全体を管理できるのであれば、おそらく長編も可能でしょう。
これはFreewriteのコンセプトの特殊性から来ています。Freewriteは、とにかく書くことに集中し、書き進むことを第一に置いています。「ページダウンキー」と「ページアップキー」はありますが、参照するだけで編集箇所を移動することができませんし、文字の削除は「バックスペースキー」を使うしかありません。執筆の途中で編集箇所を変えてウロウロすることをFreewriteが推奨していないことが分かります(詳細はこちらを。Freewriteはあくまで「草稿」ツールであり、「編集」ツールではありません)。
Evernoteと連携した場合、そのノートは編集ができません。したがって、他のアプリで編集したいときはコピペする必要がありますし、他のアプリで編集したものをFreewriteに戻すことができません。Dropboxであれば、同期したファイルを開いて他のアプリで編集することができるようですが、わたしが試してみた限りではうまく同期してくれませんでした。現段階では、Freewriteで書き始めたらFreewriteだけで完結する必要があります。
個人的には、Scrivenerと連携が出来るようになるといいなぁとは思います。Scrivenerでプロジェクトの全体を管理し、個別の章や節をFreewriteで執筆する、というスタイルがワークフローとしてシームレスにできれば、かなり生産性の高いツールとなるのではないでしょうか。私の頭はそんなにキャパシティが大きくないので、Freewrite単体だと、せいぜいブログの記事くらいしか書けないような気がします。
タイプライターとかワープロに憧れがある人や、パソコンだとどうしてもネットで時間を無駄にしてしまう、という人には一つのソリューションになるでしょう。執筆専用というだけなら、ポメラの方がコストパフォーマンスもいいし、ATOKが使えます。Freewriteの方がキーボードが打ちやすいとは言っても、値段を考えると微妙なところです。つまるところ、ダンジョンズ&ドラゴンズ的なゲーム世界でたとえるならば、いわゆる「ロマン武器」という位置づけになるのではないかと思います(ロマン武器大好き^^)。わたしはブログの下書きや、執筆のアイディア出し、気分転換に文章を書き散らすときに使っています。